成人T細胞白血病とは

1970年代後半に病気が見つかり、1980年頃にウイルスが発見された血液のがんが、成人T細胞白血病(ATL)です。

但し、近年になって突然変異的に現れたのではなく、古代より存在していたそうです。

キャリア(感染者)は、およそ100~110万人。感染者のうち、年間700名余りが発症するとされています。

ウイルス感染やATL発症の原因

鏡を見る女性の画像

成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-Ⅰ/human T-cell leukemia virus Type 1)がその原因です。

感染原因の多くは、性行為です。男性の精液から女性体内へもたらされ、白血球のリンパ球に感染します。性交渉などによる感染は年間推定数千人規模とされており、男女比では女性は男性の約3倍と言われています。

母乳の授乳の際に、母子感染する事があります。また現代では稀ですが、輸血による原因もあり得ます。

主な特徴

食卓と男女の画像

成人T細胞白血病(ATL)の特徴として、感染後の潜伏期間が30年~と、とても長い事が挙げられます。発症する年代も40歳以上の方が殆どで、60~70歳代の方に多いそうです。また、キャリア(感染者)の発症率は5%程度だとされています。ちなみに、母子感染した子供の発症確率も5%程度あるとの事です。

キャリアの人が、ウイルスを完全に体から無くす事は難しいとされています。結婚前の方や、妊娠の計画をお持ちの方・母乳で育てるお考えの女性の方は、特に要注意でしょう。そして、ご自身がキャリアなのか不明な場合は、結婚・妊娠前に、成人T細胞白血病ウイルスの検査を受けるべきでしょう。

キャリア(感染者)の状態における潜伏期間が長期間であるため、実際に発病する人は比較的少ないのですが、いったん成人T細胞白血病(ATL)に発病すると、完治は難しいとされています。またキャリアになったとしても、殆ど症状が出ない事があるそうです。

ATLを発症した場合、HTLV-Ⅰにより悪性化したリンパ球のT細胞が、血液やリンパ液を利用して骨髄・肝臓・ 脾臓・消化管・肺など全身の臓器に広がります。リンパ節(首、わきの下、足のつけ根など)の腫れ、肝臓・秘蔵の腫れ、皮疹、のどの渇き、意識障害、不整脈、下痢、咳、肺病変といった症状が現れる事があります。

末期になると、エイズと同様、免疫力の著しい低下によって日和見感染症にかかる事があります。また、視覚障害や下半身の麻痺を引き起こすケースがあります。白血病を発症すると死亡率が格段に高まります。

なお、成人T細胞白血病(ATL)の症状については、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4種に分類されます。

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